ビームライン概要
軟X線と硬X線の中間領域のX線(テンダーX線)を励起光とするX線吸収微細構造分光(XAFS)及び光電子分光が可能なビームラインである。蓄積リングからの白色光の単色化には二結晶分光器(分光結晶はInSb(111),Ge (111),Si(111)の3種から選択可能)を用いる。本ビームラインのXAFS測定でカバーする元素はK吸収端でSi~Cr、L3吸収端でRb~Prである。
ビームライン末端には真空XAFS・XPS装置と大気圧XAFS装置が直列で設置される。前者の装置では、超高真空下でのXAFS測定及び静電半球型電子分光器(SPECS PHOIBOS 150 CCD)による光電子分光測定が可能である。本ビームラインの光電子分光では通常の実験室X線光電子分光よりも励起エネルギーが高くかつエネルギー可変な実験が可能であるところに特徴がある。後者の装置ではチェンバー内をHe雰囲気にすることにより大気圧下でXAFS測定を行う。後者の装置を用いれば,液体や湿潤状態にある試料の測定が比較的容易で,製造現場や材料の実試料に近い環境での測定も可能である。
光エネルギー | 1.75~6 keV (0.7~0.2 nm) ※分光結晶による |
ビームサイズ | 2.0 mm×1.0 mm (幅×高さ)※スリットサイズによる |
分解能(E/ΔE) | > 2000 @ 3 keV |
光子数 |
どちらの測定装置もトランスファーベッセルを用いた大気非暴露試料導入にも対応している。本ビームラインで可能な測定モードについては下記一覧表を参照のこと。
BL6N1で利用可能な測定法一覧
測定装置 | 試料ホルダー | XAFS | 光電子分光 | |||
電子収量 | 蛍光収量 | |||||
TEY | CEY | AEY | PFY | |||
真空XAFS・XPS | 通常 | 〇 | --- | 〇 | 〇 | 〇 |
TV | 〇 | --- | 〇 | 〇 | 〇 | |
大気圧XAFS(He) | 通常 | --- | 〇 | --- | 〇 | --- |
TV | --- | 〇 | --- | 〇 | --- |
- TV:トランスファーベッセル,TEY:全電子収量,CEY:転換電子収量,AEY:オージェ電子収量,PFY:部分蛍光収量。
- NEW 大気圧(He雰囲気下)XAFS測定装置において,トランスファーベッセルで大気非暴露で導入した試料のCEY-XAFSが可能になりました。(2021.11~)
- NEW 真空測定装置でPFY-XAFSが可能になりました。(2021.5~)
測定事例
XAFS測定
SiウェハのSi K-edge XAFSスペクトル
チオ硫酸カリウムのS K-edge XAFSスペクトル
分光結晶によりエネルギー分解能が変化する。
XPS測定
自然酸化膜付きのアルミニウム板のAl1s XPS
入射光エネルギーや出射角を変えることで、深さ分解測定が可能。
現在の整備状況
真空XAFS・XPS測定
真空XAFS・XPS装置用のサンプルプレート(BL7U、BL1N2と共通)
真空チェンバー用サンプルプレート図面は こちら
サンプルプレートバンク
真空XAFS・XPSチェンバー用トランスファーベッセル(BL7U、BL1N2との互換性あり)
使用方法は こちら
大気圧(Heパス)XAFS測定
大気圧XAFS用サンプルプレート
大気圧チェンバー用サンプルプレート図面は こちら
※ビームサイズより大きく測定可能範囲に収まる試料サイズであれば測定可能(ただし,試料厚みと入射角度を考慮する必要あり)
※サンプルプレートを上回るサイズの試料については要相談
大気圧XAFS用トランスファーベッセル
使用方法はこちら
※大気圧XAFS用トランスファーベッセルを用いる場合は部分蛍光収量のみの対応となります。
→大気圧XAFS用トランスファーベッセルを用いる場合でも転換電子収量法が利用可能となりました。(部分蛍光収量法はこれまで通り利用可能です。)
大気圧XAFS用ガス導入セル
※利用をご希望される方はご相談ください。
粉末試料をサンプルプレートへ貼付する方法
こちらをご覧ください
BL6N1で測定したデータのAthenaへの読み込み方
こちらをご覧ください
(最終更新2024.5.31)